AIを活用したランサムウェア攻撃の最初の兆候が現れる

2025年9月16日、Mike Vizard
人工知能(AI)が自律的にランサムウェア攻撃を仕掛ける日が、また一歩近づいた。ESETのセキュリティ研究者らは、ファイルやURLを分析してマルウェアを検出するサービス「VirusTotal」上で、データの窃取・暗号化・破壊を自律的に判断できるAIランサムウェアツールを発見したと報告している。
PromptLockと名付けられたこのツールは、OpenAIが公開する言語モデルを自由に利用し、悪意のあるLuaスクリプトを動的に生成して様々なタスクを実行する。発見後、ニューヨーク大学タンドン工科大学の教授陣、研究員、博士課程学生からなるグループが、テスト中に「ランサムウェア3.0」と命名したプロトタイプをVirusTotalにアップロードしたことを認めた。
NYUチームは研究論文を発表し、概念実証として開発したマルウェアプロトタイプが、大規模言語モデル(LLM)を用いてランサムウェア攻撃を自律的に計画・適応・実行する仕組みを説明した。PromptLockが実際にサイバー犯罪者によって使用された事例はまだ確認されていないが、これは人間の攻撃者ではなく機械による新たな攻撃の波の前兆となる可能性がある。
このNYUの研究論文は、カーネギーメロン大学(CMU)の研究論文に続くものだ。同論文では以前、LLMが企業向けネットワーク環境に対する現実世界のサイバー攻撃を自律的に計画・実行するよう学習させられることを実証していた。
AI活用攻撃への防御策
こうした研究がサイバーセキュリティ専門家にもたらす影響は甚大だ。今や問題は「サイバー犯罪者がLLMを活用して脆弱性を特定し、最適な悪用方法を決定し、必要なコードを生成し、数分で実際の攻撃を指揮する自律型AI技術に基づくランサムウェアサービスをいつ構築するか」であり、「構築するか否か」ではない。既にサイバー攻撃の防御に苦戦しているサイバーセキュリティチームは、攻撃者にほとんどコストをかけずに展開される攻撃の波にまもなく圧倒されるだろう。
当然ながら、AIの火にはAIで対抗するしかない。準備が整っていようといまいと、組織は他の機械が仕掛ける攻撃に機械の速度で対応できるAIプラットフォームへの投資を迫られる。この能力がなければ、成功した攻撃は数秒で計り知れない被害をもたらすだろう。サイバーセキュリティ専門家は、AIに依存して攻撃をリアルタイムで検知・阻止しなければ、侵害の被害範囲を制限するほど迅速に対応することは到底不可能だ。
課題は、常にそうであるように、必要となるAIツールやプラットフォームを導入するための資金調達である。サイバーセキュリティ予算は今後も増加し続けることは疑いないが、脅威環境が根本的に変化しようとしている現状を踏まえると、その増加速度は追いつかない可能性がある。経営陣やITリーダーとの議論は容易ではないかもしれないが、事実は事実だ。結局のところ、サイバーセキュリティ専門家がよく知る通り、サイバーセキュリティへの投資を増やすことよりも悪いのは、事業が完全に麻痺し収益が全く生まれない状態に陥るサイバー攻撃である。














